読売新聞に,本校の取り組みが紹介されました。~令和2年5月1日朝刊にて~家庭学習 紙教材の力
教員がプリント添削し郵送/直筆メッセージ
新型コロナウイルスの影響で休校中の子供たちの家庭学習は,教科書やプリントなど紙の教材が大きな柱になっている。インターネットを活用したオンライン授業や動画配信が注目を集めるが,ネット環境が整っていない家庭もある。担任教員がプリントを添削して郵送でやりとりしたり,直筆のメッセージを添えたりと,紙によるきめ細やかな対応に力を入れる例も多い。(渡辺光彦,鯨井政紀)
■きめ細かく対応
千葉県の勝浦市立勝浦中学校は紙の教材を多用する学校の一つだ。
新学期に入ってから週1回程度,約300人の全生徒の家庭に,国語や数学など各教科の課題プリントを郵送している。
例えば,2年の理科では,地層や地震発生の仕組みについて教科書や副教材を確認しながらA4判10枚分で記述させた。社会科では,新聞やテレビの報道を毎日チェックし,関心を持ったニュースの要点と感想を書かせる課題を出した。
生徒は締め切り日までに,返信用の封筒に解答をいれて送り返す。各教科の教員は赤ペンで添削し,次の課題プリントと一緒にまた郵送する。
郵送でのやりとりには時間がかかり,その場で指導できない難点もあるが,すべての家庭でプリンターを含めたICT(情報通信技術)環境が整っているわけではない。
岡安和彦校長は「家庭環境によって不公平が生じてはいけない。紙のやりとりなら個別にきめ細かく対応できる面がある。教員は添削する際に,子どもたちへの思いを込めている」と話す。
当初,教員が各家庭を訪れ,プリントの受け渡しをしていたが,郵送に切り替えたという。
■靴箱
文部科学省の調査(4月16日時点)では,休校中の家庭学習の内容(複数回答)として,教育委員会が作成した授業動画10%,デジタル教材29%,同時双方向型のオンライン指導5%に対し,教科書や紙の教材は100%だった。
勝浦中のような郵送では費用がかかるため,学校の靴箱を「ポスト」代わりにして,課題プリントなどをやり取りする学校もある。
兵庫県の丹波市立小学校では随時,約160人の児童それぞれの靴箱に新しい課題プリントと,教員が添削した解答用紙を入れる。児童や保護者が指定された期間にプリントを提出したり受け取ったりする仕組みだ。
北小は,児童と担任教員のよる同時双方向型のオンラインシステムを導入し,「朝の会」を行う準備も進めているが,靴箱でのやり取りは続ける。
黒田睦美校長は「自宅待機が続く子供たちを励まし,教員とのつながりを持てる」と強調する。
■「気持ち伝わる」
児童に課題プリントと共に励ましの手書きメッセージを届ける例もある。
「小学校は楽しいよ,早く一緒に勉強や運動をしたいね」「よく食べ,よく寝て,よく勉強して充実した休みにしてください。家の手伝いも出来るといいですね」
埼玉県の深谷市立上柴西小学校は4月中旬,約500人の児童宅を担任教員が訪れた際,課題プリントと手書きメッセージを手渡した。
柴崎千種校長は「先生の気持ち,ぬくもりが伝わるのではないか」と話す。
早稲田大の田中博之教授(教育方法学)は「手書きの添削やメッセージをもらった子供は学習意欲が高まる。個別に指導やコミュニケーションをした記録が残って振り返りもしやすい。紙とデジタルの教材を効果的に組み合わせて家庭学習を進めてほしい」と指摘している。